never ending journey#1

自暴自棄だった15歳の時、自分の居場所が欲しくて、県下最大の歓楽街へ向かった。

同性愛者の集まるバーの扉を叩き、そこのオーナーに「働かせて下さい」と頼んだ。

そのバーのオーナーは私の名前すら聞かず、高校在学中の3年間そのバーに置いてくれた。

普段は表現することが出来ない自分を解き放して、自由に感情を手放す客を見ていると、不思議と私の波立った心は静まった。薄汚い雑居ビルのタバコとアルコールの匂いが満ちた場所で、ようやく私は息が出来る喜びを味わえた。

しかし、私のどこにそんな勇気があったのだろう?

すると、その背後には幾つかの本の存在があったことに、最近になって気づいた。

「時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです。人間が時間を節約すればするほど生活はやせ細って、なくなってしまうのです」

このミヒャエル・エンデの言葉に導かれて、小3の夏休みに途中でほったらかしにしたモモに再会して、私は物語を完読した。

あたりまえの世界がおかしくて、異常だと思われているボロボロの服を着た、浮浪児の女の子ただ一人がこの世界の真実を取り戻す鍵を持っているというところに、当時、社会とも親ともうまく関係を築けていなかった私は、何か重ね合わせるものがあったんだろうと思う。

画像に載せた4冊の本は買い戻したモモを除いて、今は私の手元にはない。

しかし、この本たちはいまだに私の心の中で、背中を押して励ましてくれる。

読書の秋は終わりましたが、この冬はこの本達と出会った頃を振り返って、改めて感謝の気持ちを伝えることが出来たらと思っています。

THANK YOU
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